第一尚氏王朝の官制

テダ

2006年02月07日 00:17



1429年、琉球を統一した尚巴志の政権は「第一尚氏王朝」と呼ばれています。この政権はどのような政治組織で運営されていたのか、確認できる範囲で解説したいと思います。
特徴として挙げられるのは、政権の中枢に華人たちが多く登用されていることです。琉球王府という名称も先に述べたように中国の王府制度を模倣したものでした。もちろん、琉球土着の按司層らもそのなかに参加していましたが、彼らは自らが領有する地域のグスクに拠点を持っていたので、完全に中央組織に取り込まれてはいなかったようです。

第一尚氏王朝は、「佐敷按司時代からの尚巴志グループ(中山王側近)」+「久米村の華人集団」+「各地域の按司連合(護佐丸、阿麻和利など)」で成り立っていたと考えられます。

《王府》
◆国王 琉球国中山王。琉球語で「世の主(よのぬし)」と称する。

◆王相(おうしょう) 王府内に設置された王相府の長。華僑集団「久米村」の統括者であるとともに中山王府の最高政治顧問。明朝の正五品に相当。

◆長史(ちょうし) 王府長史司の長。左右の長史2名。王を補佐、王命を伝達する。

◆典簿(てんぼ) 王府長史司に属する。公文書などを扱う。

◆千戸(せんこ) 千戸所の長。千戸所は明朝の地方軍事組織。千人の兵を統率する。琉球では名目上の職だったと考えられる。

◆通事(つうじ) 対明外交の通訳官。

◆火長(かちょう) 航海長。琉球貿易船の船長。

◆管船直庫(かんせんちょっこ) 琉球貿易船の護衛隊長。琉球人が就く。

◆梢水(しょうすい) 琉球貿易船の水夫。

◆執礼等事官(しつれいとうじかん) 王相の統括下で対外交渉に従事する官。のちの御物城御鎖之側(おものぐすくおさすのそば)とする説がある。琉球人が任命された。

《地方》
◆按司(あじ) 寨官(さいかん)ともいう。グスクを拠点に各地方に割拠する首長。

◆掟(おきて。うっち) 結制・結致ともいう。按司の下にいる各地方の行政官のような役割だと考えられる。対外貿易にも派遣される。
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